スポーツサイクル専門店に凸入
家の車庫に、ロードバイクっぽい形の何かが生えて来た。
うん、実に美しい。
あとはCAAD8のフレームにケーブル類とチェーンを装着し、ブレーキの調整をすれば走行出来る所まで組み立ててみたのだが、頓挫してしまっている。
BB下のケーブルガイドが欠品だからだ。
商品説明覧の「ケーブルガイド欠品です」の一言を甘く見ていた。
CAADのケーブルガイドは独自規格の専用設計だと知らずに「シマノのケーブルガイド持ってるし大丈夫だろう」くらいに軽く考えていたのだ。
痛恨のミスである。
仕方が無いのでキャノンデール販売店でケーブルガイドを購入しなければならないのだが、電車に乗って新宿の〇イズロードまで行くのも時間と交通費が掛かるので、近所にキャノンデールを売っている自転車屋は無いか調べてみた。
お、有るじゃない。
家から直線距離で3km程。
歩いて行くには遠いが、店の前に駐車スペースは有るようなので、クルマで行く事にした。
行く前に店のHPをもう少し詳しく見てみると、フィッティング料金〇万円とか、計測のみは〇千円とか書いてある。
なんか店の人やお客さんがレースに参加しているらしい。
私が入店した事が有るスポーツサイクル専門店は〇イズロードくらいで、ガチな自転車屋はGIANTのクロスバイク乗りには敷居が高い気がして、まだ入った事が無い。
だがしかし、今の私は中古フレームでロードバイクデビューを果たしているのだ(まだ乗ってないけど)
臆する事は無い。
覚悟を決めよう。
そうだ、私はこれからガチな店にキャノンデールのケーブルガイドを買いに行くのだ。
へえ、こんな所に自転車屋あったんだな。
今まで気が付かなかった。
店に着き、駐車スペースにクルマを停める。
隣の駐車スペースには、エンジン掛けっぱなしの白いレクサス。
運転席の女性は、多分エアコン入れっぱなしで、スマホに夢中になっている。
ガソリン代、気にしない人なのか?
そしてレクサスの助手席には毛並みの良いヨークシャテリアが鎮座している。
おい、店入る前からこれかよ。
私が意を決して店のドアを開けるやいなや、店員さん達が大きな声で挨拶をしてきた。
「こんにちわあ!」
びくっ。
「こんにちは」なのか?
この店の挨拶ルールは「いらっしゃいませ」じゃ無くて
店員全員で元気に「こんにちは」なのか?
そうか解った。
店のルールには従おう。
「え、ぁ、こん、、、、」
いかん、挨拶を返すタイミングを完全に逃してしまった。
まあ、いい。
私はキャノンデールのケーブルガイドを買いに来たのだ。
私は勇気を出してカウンター奥の整備スペースでMTBの整備をしている店員さんに声を掛けてみた。
「あの、、今、ちょっと大丈夫ですか」
「、、、、、、、、、、、、」
無言だ!聞こえてない!
整備に集中しているのか?それとも私の声が少し小さかったのか?
まあ、集中しないと、客の自転車に工具で傷とか付けたら大変だろうからな。
仕方が無い、店内を歩きつつ、声を掛けて良さそうなタイミングの他の店員さんを探そう。
店の中を見回すと、やはり展示車はロードバイク率が高いようだ。
パーツが展示されたショーケースには、「全品10~40%OFF」のPOPが貼られている。
この価格は良心的なのか?定価自体が高そうなので、良くわからないぞ、、、
店内の奥には、フィッティングルームのようなスペースが有る。
そして、自転車のような形をした、ポジションを計測する為の謎の機械が設置されていた。
ああ、あれは〇イズロードで似たような形のを見た事があるぞ。
日曜日のせいか、どの店員さんも忙しそうだ。
店内を徘徊していても埒が明かないので、私は店のレジ兼カウンターで順番待ちをする事にした。
ちょうど私の前の順番の男性客が、カード決済で支払いをしているところだった。
店長ぽい人「、、、、、十万、、、、千円ですね」
おいっ!
今、ちらっと聞こえたぞ。
言ったよね、今さらっと50万って言ったよね。
あんたも!今一体何買ったんだよ。
完成車か?それともフレームだけで50万とかのやつか?
気になる!頼むから教えてくれ!
そして間髪を入れず、奥のフィッティングルームからは、シマノのR500とは明らかに異なるラチェット音を高らかに響かせながら、頭のてっぺんからつま先までビシッと決めたガチな人が、スペシャライズドを押して颯爽と登場して来た。
フィッティングして来たんスか?
〇万円のやつ、やって来たんスか?
うわ、何そのアウターリング、見た事無え形してますね、、、
軽くカルチャーショックを食らい呆然としている私に、やっと店長ぽい人が気付き、奥でMTBの整備をしている先程の青年に、私の接客をするよう目配せをしてくれた。
店員「今日は何か?」
私「あの、キャノンデールのケーブルガイドって、在庫有ったりしますか?」
店員「、、、どこら辺に付ける部品の事でしょうか?」
通じてない!
私「BBの下辺りに付ける、、シフトケーブルを通す、、あのプラスチック製の、、」
店員「ああっ」
良かった!通じたようだ。
店員「車種は何になりますか?」
私「キャド、ハチ、です」
店員「、、、キャードエイトですね」
訂正された!
私「キャードエイト、、、です」
店員「年式、お解りになりますか?」
おい!車種ごと年式ごとで専用設計なのかよ!
まあ、その後のやりとりは順調かつ丁寧な対応で進み、価格については私が了承済なので、メーカーの在庫が確認出来次第の発注という事で話が付いた。
早ければ今週末にはキャドハチ、いやキャードエイトのシェイクダウンが出来そうだ。
店を出ると、エンジン掛けっぱなしのレクサスの女性は、まだスマホを弄っていた。
ガソリン代、気にする必要が無い人が来る店なのだろうか、、、
それでは。